職務経歴書の書き方2 ~書類選考率80%を目指す 実績編~

実績の書き方で意識していることは、「数値を使って具体的に」とかだと思います。しかし実はこれらを意識しても、効果的に自分をアピールすることはできません。

理由は2つあります。1つは、もうみんなやっているから。もう1つは、自分ではなく前の会社をアピールしているからです。

1つ目の理由は理解できても、「前の会社をアピール?」とハテナマークが頭に浮かんだ人も多いと思います。

でも大丈夫。本記事でしっかりと説明していきます。最後まで実行していただければ、採用担当者の目に留まる質の高い職務経歴書が書けるようになりますよ。

「実績をどう書けばいいのか」を理解する

実績を書くときには、実績自体をアピールするのではなく、「能動的に環境を作り出せること」をアピールする必要があります。

実績は、運など要素があり偶発的なものです。それに対して環境作りは、再現性のあるものです。そのため、実績よりも環境作りができることが大事になります。

まずは、実績が偶発的なものであることを説明してきます。

成果を出すのに必要なこととは

成果を出すには、努力+環境が必要になります。特に環境が大事です。

たとえば、お金持ちになりたいとします。このときに、「親が金持ち」という環境の場合には、あまり努力をしなくてもお金持ちになれると思います。もちろん努力すれば、お金持ちになれる確率も高まっていきます。

一方で「親が貧乏」という環境の場合には、「大学に行けない」などの要因によって並大抵の努力では、お金持ちになれません。そしていくら努力しても、環境が整っている他者に打ち勝つのは非常に難しいです。

このように成果を出すには、努力よりも環境が大事になってきます。

つまり「成果を出せている人」は、「環境が整っている人」と言い換えることができます。実はこれ、極論でも何でもなく真実なのです。

野村証券が、数億円かけて外部のコンサルタントを雇い、「どのような人が出世するか」という調査をしました。

調査の結果、出世する人の特徴は「入社して最初の上司が優秀な人物だった」というものでした。つまり、出世する人(=優秀な人)は環境が整っていたということです。もちろん、何も努力していないわけではないでしょう。しかし上司によって、努力の質も変わってきます。

無能なコーチと一緒に2時間練習するよりも、有能なコーチと2時間練習した方が、確実に上手になりますよね。このように同じ量の努力をしたとしても、環境によって効果が変わってきます。

このことから、「成果を出せた人」は、環境が整っていたからこそ成果を出せたと言えます。つまり、成果(=実績)は「環境が整っていただけ」とも捉えることができるのです。

このことから何が言えるのか。

職務経歴書で実績をアピールしても、「前の会社(=前の環境)だから、その実績を出せたんじゃない?」と思われてしまうということです。

たとえば、「営業成績1位」という実績があっとしても、「上司が良かったのでは?」とか「顧客が良かったのでは?」とか「商品が良かったのでは?」といった、邪推をされる可能性があります。

つまり、あなたは「自身をアピールしているつもり」でも、採用担当者は「前の会社の環境をアピールしている」と感じるのです。

では、どうやって自分の能力をアピールすればいいのでしょうか。

冒頭にも言った通り、「能動的に環境を作れること」をアピールするべきなのです。

「能動的に環境を作る」とは

先ほど出した野村証券の例で説明します。

出世できる人は、上司に恵まれていた人です。

つまり優秀な成績を出せる人は、優秀な上司がいた人と言い換えることができます。そのため優秀な成績(=実績)は、アピール材料にはなるものの、能力をアピールするには物足りません。

しかし「営業能力を高めるため、直属の上司だけじゃなくさまざまな上司とコミュニケーションを図った。その結果、昨年度の営業成績で1位の成果をおさめた。」という表現方法ならばどうでしょう。

この場合には、「上司が優秀だったから、成果が出せたんじゃない?」という邪推を避けることができると思いませんか?

さらには、「うちの会社にきても、成果を出してもらえそう」とまで思ってもらえる可能性もあります。なぜなら、「成果を出すための環境を作れる」と示しているからです。

野村証券の調査結果からわかる通り、優秀な人物になるには、「上司が優秀」という運とも呼べる偶発的な要素が必要になります。しかし、優秀な人物になれるように「優秀な上司とコミュニケーションを図ること(=環境作り)」は、意図的にできることです。つまり、再現性があるのです。

したがって職務経歴書でアピールするべきなのは、「実績そのもの」ではなく「実績を出せる環境を作れること」なのです。

たとえば、「新規顧客開拓率〇%UP」という実績があったとします。このとき、「タイミングが良かった」とか「商品が良かった」とか、あなたの能力以外に理由を挙げることができます。

しかし、「顧客が商品を買い替えるタイミングを調査。その結果、新規顧客開拓率を〇%UPさせた。」というような表現をすれば、「タイミングが良かったのでは?」という邪推を避けることができます。そして、環境が変わっても営業能力が落ちないことも証明できます。

このように「環境作りができること」をアピールすれば、「その環境だから、成果を出せたんじゃない?」という邪推を避け、「どのような環境でも、私なら成果を出せます」と示せるのです。そのため実績を書く際には、実績自体にフォーカスするのではなく、環境作りにフォーカスしましょう。

まとめ

職務経歴書に実績を書く場合には、「数値を使った具体的に」と指導されることが多いです。しかしそれは、すでに多くの人がやっていることです。つまり、「数値を使って具体的に実績を書くこと」は、普通の職務経歴書の書き方なのです。

採用担当者の目に留まる職務経歴書を書くには、「実績を出すために必要な環境を作れること」をアピールする必要があります。これさえできていれば、書類選考率は高まるでしょう。

そのため、「実績を出すために行った行動」にフォーカスして考えてみてください。

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