
ITエンジニアは空前の売り手市場ともいわれるほど人材が不足しています。
企業では優秀な人材の人数を確保しようとしているため、転職者にとっては有利な状況であるとともに、良い転職先を巡って有能なエンジニアが競い合っています。
こんな中、転職を成功させ、将来のキャリアアップにつなげていくにはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?
空前の売り手市場到来!?転職するなら今がチャンス!

リーマン・ショック以降人材不足が急速に拡大しているといわれるIT業界では、国の人口減少に伴ってさらに人材の不足規模が拡大する見込みです。
具体的には、2015年時点で約17万人、2030年には59万人程度まで人材不足が進むだろうということが、2016年経済産業省の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によって明らかにされました。
同調査では、2019年を境にIT関連産業の入職者数が退職者数を下回り、人材不足とともに高齢化も進むという見通しです。
したがって、企業にとっては即戦力となる人材の確保とともに若手の育成にも力を入れなければならない環境といえるでしょう。
ITエンジニアの需要は今後さらに高まっていく
一方、IT業界自体はビッグデータやIoTなどの先端技術の発展、クラウドコンピューティングなどの普及により、ITエンジニアの需要は今後さらに高まっていきます。
また、ITエンジニアの就職先はIT関連の開発会社にとどまらず、ネットワーク化やセキュリティ強化、業務効率化のために自社内にITエンジニアを確保したいと考えている企業も少なくありません。
産業経財省が2015年に行った「IT人材を巡る現状について」の調査では、2014年10月時点で、IT・通信業の転職求人倍率は2.00倍を超え、その後も高い水準を保っています。

IT関連の求人は増加している
転職サイトなどでもIT関連の求人は数多く掲載され、ほとんどの分野で登録者数が増加している状況です。
一方で、求人が増加するこのタイミングにキャリアアップを目指して転職を考えるエンジニアも多く、転職自体は必ずしも簡単というわけではありません。
企業はいかに優秀な人材を確保するかにしのぎを削っており、その中を勝ち残らなければならない転職者にとって「転職=成功」とは必ずしもいえないかもしれません。
そんな中、納得のいく転職をするにはいくつかのポイントがあります。
転職の鍵は分野を見極めること!

先端IT産業は今後の業界発展の鍵を握る
拡大を続けるIT産業の中でも、先端IT産業は今後の業界発展の鍵を握るともいわれ、先述のIoT、ビッグデータ、人工知能などの産業がこれに当たります。
これらの産業では、十分な知識をもったエンジニアやサービスを具体化できる人材が不足していることから、今後ますます求人数が増えると予測されます。
また従来の産業の中でも、デジタルビジネス、クラウドコンピューティング、情報セキュリティなどは自社向け、社外向けサービス共に人材が不足していることから、人材の補充が急務であると感じている企業が多いようです。
求人が増えている分野
ITエンジニアを分野別にみると、ビッグデータ関連の需要からデータサイエンティストの求人が増えています。
この分野では経験者が優遇されますが、人材不足からポテンシャルを持った人材も積極的に採用されており、数学や統計学の素養を持った人ならば経験が少なくともチャンスがあるかもしれません。
また、社内SEは安定して求人の多い分野で、業務の効率化やスピードアップ、精度の向上などのためにITに投資したいと考える企業が増えています。
ほかにも、どの業界でも需要の高まっているセキュリティエンジニアやWebサービス系エンジニアなどは求人が増加する傾向にあるため、狙いどころかもしれません。
キャリアアップのための転職のチャンス
これらの産業、分野での業務経験があるエンジニアにとって、人材不足のこの時期はキャリアアップのための転職のチャンスといえるでしょう。
しかし、それ以外のエンジニアにとっても今後の人手不足を見越してスキルアップするためのチャンスがあります。
例えば、Webサービス系エンジニアは、ゲーム、ECサイト、ネイティブアプリなどで人材不足が進んでおり、経験が少なくても伸びしろがあると期待されるエンジニアを積極的に採用して自社で育成する動きがあります。
このようなチャンスを利用すれば、現状の業務に物足りなさを感じているエンジニアはスキルアップできる可能性があるかもしれませんね。
キャリアプランにプラスになる転職を!

転職を繰り返しながらキャリアアップ
転職を希望するITエンジニアは20~30代などの若年層が多いのが特徴の1つです。
現代社会では永久就職は死語となりつつあり、転職を繰り返しながらキャリアアップする人も少なくありません。
同じ会社で上司や先輩が辞めていくのを待つだけがキャリアアップの方法ではないので、積極的にアンテナを張り巡らせてチャンスをものにしていく姿勢が大切でしょう。
そのためにはキャリアプランを持つことが重要です。
目の前にある業務をこなすだけでなく、今の業務で身につけられるスキルが今後どのような形で自分のキャリアにつながっていくかを意識して仕事をしていくことが大切です。
時期を見極めることが重要
また、転職をするには、時期を見極めることも重要といえます。
時代の大きな流れとして、ITエンジニアは転職市場で最も注目される職種の1つです。
その中で年収、社格、キャリアアップのために転職先を探しているITエンジニアも数多くいるでしょう。
ですから、この機会に自分の経験と成果を棚卸しし、アピールポイントを押さえてみてはどうでしょうか。
企業では良い人材を確保するために、選考回数を減らしたり、週末の選考会を開いたりして積極的に経験のある転職者を雇っています。

就労環境のリサーチも忘れずに
このように、人材不足による売り手市場は転職者にとって有利といえますが、一方で気を付けなければならないこともあります。
それは、労働環境の厳しさです。
少しでも早く人手が欲しい企業は積極的に採用を行いますが、人手不足から常に仕事があふれているため、長時間労働を強いられる場合があります。
転職しても過労から体を壊してしまっては元も子もありません。
就職活動をする上では、企業のホームページはもちろんのこと、口コミサイトなどを見るなどして就労環境のリサーチをすることも重要です。
これらを踏まえて転職を成功させ、将来のキャリアプランにプラスになる転職を目指しましょう。