
現職の年収に対する不満など、エンジニアが転職に興味を持つきっかけはさまざまです。
いずれの場合も、やみくもに企業に応募するのは良くありません。
最善の結果につながる選択を可能にするため、事前にいろいろなことを検討しておく必要があります。
そこで今回は、転職したいエンジニアの指針となる重要なポイントを紹介します。
転職の理由と実現したい目標を明確に!

転職したいと感じたときに最初に行ったほうが良いのは、そのような気持ちになる理由を明確にすることです。
うまく言葉にできないなら、目の前の出来事などの影響で感情が先走っている可能性があります。
エンジニアの仕事をしていると、納期前に急にクライアントから仕様変更を要求されるなど、対応が難しい状況に追い込まれることもあるでしょう。
大量のバグに悩まされたり、プロジェクトのメンバーが欠けたりするなど、予定どおりに進まないことも珍しくはありません。
そのような自分への負荷が大きくなるタイミングでは、突発的に転職したくなることが多いので注意が必要です。
冷静な時に考えよう
いったん冷静になって状況を整理すると、転職は自分にとって現実逃避の手段に過ぎないと分かるケースもあります。
それに気付かないまま勢いだけで実行すると、新しい勤務先でまた同じ問題に遭遇するかもしれません。
そのようなリスクを回避するには、転職したい理由とともに、実現したい目標を明らかにすることが大切です。
たとえば、年収に不満があることを自覚しているなら、どれくらい欲しいのか具体的な金額を設定します。
現職で達成できる見込みがない金額なら、他社に移ることは現実的な解決策です。

目標が志望動機に使えると採用率が上がる
海外での開発など、目標が志望動機に使えるものなら、採用してもらえる確率のアップに役立ちます。
応募先が非常に困るのは、採用したエンジニアにすぐ辞められてしまうことです。
採用活動を再開する必要があり、納期や開発の遅れに直結して大きな損失を招きかねません。
志望動機が漠然としていると、採用担当者は応募者がなぜ自社を選んだのか分からず、働き続けてくれるのか不安を抱いてしまいます。
一方、志望動機に明確な目標が盛り込まれていれば、そこから自社で働く必然性を感じ取ることで、安心して採用しやすくなるのです。
エンジニアとしての市場価値を知っておこう

適切な条件で転職するには、自分の市場価値を知っておくことが重要です。
しかし、エンジニアのなかには十分に把握できていない人も見受けられます。
同じ企業で働き続けていると、社外のエンジニアと比べられる機会がなく、自社の基準でしか評価されないので、そうなってしまうのも自然なことです。
その場合、現時点の年収で自分の市場価値を判断してしまう人もいます。
しかし、いくら年収が高いエンジニアでも、転職市場における評価が高いとは限りません。
同額を支払っても良いという企業が多くなければ、市場価値とはいえないので注意しましょう。
反対に、もっと支払っても良いという企業がたくさんあれば、市場価値のほうが高いことになります。
他社基準で市場価値を見る
エンジニアは、このようなギャップが生じやすい職種です。
たとえば、ITエンジニアといっても専門分野はさまざまですし、企業ごとに担当する製品やシステムも異なります。
そのため、経験が豊富なベテランでも、持っているスキルはその企業でしか通用しないこともあるのです。
一方、自社では評価の低いスキルでも、他の業界でニーズが高まっていたり、他社の新規事業で重要な役割を果たしたりする場合もあります。
そのため、自分の本当の市場価値を把握したいなら、年収をはじめとした自社の基準ばかりを気にしていてはいけません。
エンジニアを対象とした技術交流会
市場価値を知る方法として有効なのは、エンジニアを対象とした技術交流会に参加してみることです。
自分のスキルに対する反応を見られますし、他のエンジニアのスキルを見て自分との比較も行えます。
つまり、自社の枠を超えて自分のレベルを判定できるので、市場価値に関しても予想しやすくなるのです。
具体的な年収として把握したいなら、転職サイトのエージェントに算出してもらうという方法があります。
また、企業からのスカウトを受けられる転職サイトに登録して、オファーで提示される給与の傾向を参考にするのも一つの手です。
スキルと実績は?キャリアの棚卸しで確認!

エンジニアの転職で不可欠なのはスキルと実績のアピールです。
新卒の場合は、採用後に教育することを視野に入れているので、必ずしもそれを十分に行える必要はありません。
担当させる仕事も、教育しながら個性や能力を見極めた後で決めるケースが多いです。
しかし、エンジニアの中途採用の場合、欠員の補充や新規プロジェクトのメンバーとして、すでに役割を決めているのが一般的です。
即戦力として期待されているため、それに応えられる可能性が高いことを示さなければなりません。
つまり、貢献できるスキルを持っていて、信頼に値する実績があることを知ってもらう必要があります。
キャリアの棚卸しを済ませておく
そこで重要になるのが、キャリアの棚卸しを済ませておくことです。
スキルや実績を説明するには、自分自身がそれらを理解していることが前提になります。
ところが、忙しいエンジニアは次から次へ頭を切り替えて仕事をこなすので、直近のプロジェクトしか詳しく覚えていなかったり、昔使っていたスキルの存在を忘れていたりする場合もあるのです。
そんな状態のままだと、自分がどのようなエンジニアなのか正確には知ってもらえません。
仕事を時系列でリストアップする
この問題を回避するため、キャリアの棚卸しとして、担当してきた仕事を時系列でリストアップしましょう。
仕事の内容の他に、使用したスキルや得られた成果も記入していきます。
主観的な情報は書かずに、できるだけ客観的なデータを添えておくことがポイントです。
とはいえ、売上や契約本数を書ける営業職などと違って、エンジニアの場合は分かりやすいデータがない場合もあります。
記入するデータは技術分野のマニアックなものでも構いません。
たとえば、社内システムの効率化に携わったのであれば、処理時間の前年比などを書くといった具合です。
エンジニアの面接には、技術分野の知識がある社員も面接官として同席するのが一般的なので、技術分野のデータを伝えることも効果的なアピールになります。