
IT業界は他の業界と同様、人手不足に悩まされています。
しかし、2015年にグルーヴ・ギアが未経験者を対象にした調査によると、エンジニア希望の女性が前年の2倍となる33.5%でした。
人手不足への歯止めが期待されます。
さらに多方面で女性の活躍を推進する動きが見られますが、現場の状況はどうなっているのでしょうか。
本記事では、女性エンジニアの割合や転職などについてまとめています。
女性エンジニアの割合

一般社団法人の情報サービス産業協会(JISA)が発表した「2017年版 情報サービス産業 基本統計調査」によると、女性エンジニアの割合は16.4%となっていました。
なお、エンジニア以外の職種を含む従業員全体での女性管理職の割合は5.4%です。
年間所定労働時間の単純平均値は1,887時間で、ITエンジニアの年間所定外労働時間(残業や休日出勤など)の単純平均値は277時間でした。
さらに年間年次有給休暇取得日数の単純平均値は11.9日、年次有給休暇の取得率は63.4%となっています。
女性エンジニアの現状
政府が打ち出している「働き方改革」に合わせて有休消化率を上げたり、残業時間を削減したりするよう取り組んでいる企業は、増加傾向にあります。
しかし、業務量が減らないにも関わらず、有休を取るのは現場を混乱させるだけだと、休めない人が多いのが実情です。
特に中小企業では、働き方を変えるのが容易ではない様子です。
残業や休日出勤に加えて、深夜の呼び出しが多いのもエンジニア職の特徴と言えます。
システムに問題が起きれば早急に対応すべく、時間を問わず現場に向かわなくてはいけません。
子育て中の女性であれば、なおさら大変だと考えられます。
こうした現状から、将来有望な女性エンジニアでさえも退職する確率が高いと言われています。
同調査によると、2007年に入社した2,187名の女性社員の内、10年後も勤続していた人の割合は50.43%と半数程度でした。
女性の活躍機会は広がっている

内閣府は、男女雇用機会均等法などに基づき男女間の格差を改善しようと、積極的改善措置を行ってきました。
これまでに行ってきた取り組みには、女性国家公務員の採用及び登用、国の審議会における女性委員の登用などが挙げられます。
一般企業に対しても、女性が活躍している状況を把握したり分析したりして行動計画を策定し、情報の公表などを義務付けています。
平成26年1月には「女性の活躍『見える化』サイト」が内閣府により開設され、これまで企業での女性活躍の様子や女性登用に関する目標などが企業の名と共に掲載されてきました。
テレワークにより女性の活躍を進める
女性の活躍を進めるために大切なのは、多様で柔軟な働き方を用意することでしょう。
そこで推進されているのが、ICT技術を活用するテレワークです。
テレワークに欠かせない技能をeラーニングなどでも習得できるようにしたり、テレワークの仕事を創出するための取り組みを行ったりする流れが地方で見られます。
それでも、女性が妊娠して出産すると仕事との両立が難しくなり、一旦退職せざるを得ないケースは少なくありません。
出産後に復帰する場合も、非正規雇用になることが多いため、キャリア形成が難しいのが実情です。
そのような中、社会保険労務士などの有資格者を使って企業に育休取得アドバイザーを派遣したり、高齢者などを活用して産休育休代替職員を派遣したりしている地方自治体も見られます。
一般企業においても、テレワークを導入する動きがあります。
「2017年版 情報サービス産業 基本統計調査」におけるテレワーク実施の有無調査では、実施している企業の割合は11.8%、試行中もしくは試行経験がある企業の割合は16.5%でした。
6割以上が実施経験はないと答えていましたが、政府の働きかけにより、今後増加していく可能性は高いでしょう。
たとえ週に1回でもテレワークで働けるとなると、通勤時間が削減され、家事や育児との両立が楽になることが期待できます。
既に大企業では働き方改革が進み、長時間労働が当たり前ではなくなっていると言われています。
人手不足が深刻となり、条件の良い企業に続々と社員が流れてしまうことを阻止すべく、労働環境の改善が急務となったためです。
中には、月平均残業時間が20時間以下、有休取得率は9割以上を達成した企業も存在します。
IT業界の労働環境は変化しつつあり、女性にとっても働きやすい職場は増えていることがうかがえます。
女性エンジニアにオススメの転職サイト

先述したように、同じ企業で10年後も働いていた女性エンジニアの割合は50.43%でした。
退職理由は明らかになっていないものの、他の企業への転職者は一定数いると予想できます。
より働きやすい企業に転職するのは、エンジニアにとって当たり前のことなのかもしれません。
エンジニアの多くは、職業安定所などではなく、転職サイトを利用しています。
転職サイトは専門職ごとに分けて作られており、ITの職種も専門サイトで見ることができます。
転職サイトにはIT分野に特化した求人広告が掲載されており、条件絞込み検索をして探すことも可能です。
優良な求人内容の非公開求人や独占求人を持っている転職サイトは少なくないため、条件の良い企業に移りたい人や、キャリアアップを望む人も安心です。
非公開求人などは、アドバイザーから紹介してもらえます。
アドバイザーはIT業界に精通する人が担当しているのが一般的で、面談で職務経歴や希望などをしっかりと伝えれば、一人一人に最適な求人をマッチングしてくれます。
転職サイトの運営方針次第ですが、アドバイザーによる面接指導や職務経歴書の書き方指導を受けることも可能です。
企業の実情や裏話を知っている場合があるので、積極的に仲良くなるといいかもしれません。

IT専門の転職サイトは、50近く存在します。
ITの中でも職種が細かく分かれているため、自分が希望する職種の求人が多く掲載されている転職サイトを利用しましょう。
残業が少なく子育てと両立できる企業はきっとある!
子どもを産んで育てたいが、仕事との両立は難しいと考える女性エンジニアは少なくないです。
また、子どもを産んで、正社員として復職できなかった人もいるでしょう。
両立は容易なことではありませんが、働き方改革は大企業を中心に進んでおり、徐々に両立させやすい労働環境が整ってきています。
現在の職場の労働環境に納得できないのであれば、転職を考えるといいかもしれません。