エンジニアの転職に関する資格。基本情報技術者について解説します

エンジニアにとって登竜門的資格である基本情報技術者試験。

特別な受験資格がないため、人気資格の1つとして注目されています。

まずは、基本情報技術者の概要について紹介します。

また、試験に合格するための必要な勉強時間について取り上げます。

さらに、転職に使える資格なのか気になる人も少なくありません。

そこで転職に役立つ資格であるかについても解説します。

基本情報技術者とは?

エンジニアにもっとも関連の深い資格のうち、国家資格は情報処理技術者試験が主流となっています。

情報処理技術者試験制度は、経済産業省の国家試験として1969年に発足しました。

1994年にはコンピュータ化に際して新制度に切り替わり、2000年にはIT革命の行政方針によってさらに内容が刷新されました。

試験にもよりますが、年1回もしくは2回実施されます。

情報処理技術者試験のうちの1つである基本情報技術者試験は、高度IT人材となるために必要な基本的知識や技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者を対象とした試験です。

いわばIT業界では、これからエンジニアとして働きたいという入門的な資格といえます。

また2000年度までは、第二種情報処理技術者試験と呼ばれていたため、古くからこの資格を持っている人は「二種」と呼ぶ人もいます。

受験者数が多い

IT業界では入門的な位置にある基本情報技術者試験は、世間からの認知度が高いため、受験者数が毎年10万人を超えています

また特別な受験資格はなく誰でも受験可能であるため、独学で資格取得を目指す人も少なくありません。

また大学や資格の専門学校でも、授業のカリキュラムに組み込まれていることがあります。

試験は毎年春と秋の年2回

試験は毎年春と秋の年2回実施されていて、申込期間はその3ヶ月前から始まり約1ヶ月程度です。

試験形式は午前と午後の試験があり、丸1日かけて行わなければなりません。

午前の問題は、テクノロジ系やマネジメント系やストラテジ系から出題されます。

この中でもテクノロジ系問題が半数以上出題されるため、合格するためにはいかにこの分野で得点するかがカギとなります。

午後問題は長文形式の問題ですが、選択式となっているので自分が得意とする分野を選んで解答できます。

ただし「情報セキュリティ」と「データ構造及びアルゴリズム」は必須問題です。

基本情報技術者の難易度・勉強時間

毎年10万人以上の人が受験する基本情報技術者試験。

年に2回行われるため、1回ごとの受験者数は5万から6万人程度です。

2018年秋期に行われた試験では、受験者数約6万人に対して合格者は1万3千人余りであり、合格率は22.9%でした。

現行の試験制度となった2009年度からの合格率は20%~30%程度を推移しています。

つまり約4人に1人しか合格できないため、難易度はやや高めの試験といえます。

しかし、受験資格の制限はないため、情報系の勉強が未経験者であっても合格することは可能です。

必要な勉強時間は?

基本情報技術者を受験するにあたり、気になるのがその勉強時間でしょう。

これは情報系の知識の有無で大きく変わってきます。

情報系の知識が全くない状態で勉強を始める場合は、3カ月~半年くらいの時間は必要です。

そのため、まずITパスポート試験の受験をしてみると良いです。

何故なら、マネジメント系やストラテジ系の知識をそのまま流用できるからです。

またITパスポート試験におけるテクノロジ系知識は、基本情報技術者に比べると易しいものばかりですが、準備知識としてはとても有効です。

一方、大学等で情報系の知識を学んでいる場合は、1~3カ月程度の勉強時間が必要といわれています。

午前試験の免除制度も

ところで基本情報技術者試験には、午前試験の免除制度があります。

それはIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)に認定された講座を受講し、IPAが提供する修了試験に合格することです。

この修了試験は年に4回実施され、問題もほぼ基本情報技術者試験の過去問題から出題されます。

つまり自宅等で過去問を解きつつ、講座に参加すれば比較的合格はしやすいです。

午前問題の勉強負担を軽くして、その分午後試験に力を入れたい場合に有効となります。

ただし、講座の修了が認められた日から1年以内に基本情報技術者試験を受験する場合のみ、午前問題が免除されることに注意が必要です。

基本情報技術者は転職で役立つ?

「実力があれば資格なんて不要だし、転職には役立たない」とか「資格のための勉強は、実践では役に立たないものが多い」という声は世間でよく聞かれます。

例えば流暢な英語を話す人が、必ずしも英語に関する資格を持っていないと同様に、資格なんて不要だという一面もあります。

しかしながら英語が得意じゃないからこそ、資格を取るために勉強するんだ、という側面があることを忘れてはいけません。

エンジニア関連の資格には、技術者として次のレベルを目指すときや、転職するときなどに持っていた方が実力を示せるものがたくさんあります。

また転職だけでなく、資格手当として給料に反映されることがあるので、資格取得の重要性を無視することはできません。

基本情報技術者は基本的な内容の資格

国家資格である情報処理技術者試験には「システム監査技術者」をはじめとして14の資格が存在します。

そのうちの基本情報技術者は、情報システム開発及び運用者向けの資格として、エンジニアが取得しておきたいものです。

しかし基本情報技術者は、エンジニア向けの資格の中では、基本的な内容を問う試験となっています。

そのため、情報システム開発及び運用者向けの資格の中では下位に位置しています。

基本情報技術者は転職で役立つ?

では基本情報技術者は転職で役立つかといえば、立場によって変わってくるといえます。

先述の通り、この資格はエンジニアにとっては入門的なものであるため、IT業界での転職ではそこまで強い資格とはいえません。

むしろエンジニアやプログラマー以外の職業を目指しているという人の場合、職種によっては優位に働く可能性が大いにあります。

例えば医療機関などIT系以外の企業に就職する場合、基本情報技術者があればシステム関連の知識を持っている証明になります。

医療機関では電子カルテを導入しているため、システム関連の知識を持っている人は重宝されやすいです。

またそれ以外の企業であっても様々なシステムを導入しているため、社内SEとして採用される可能性はあるのです。

そのため、転職を検討している人は、様々な業界を幅広くチェックすることが大切です。

基本情報処理技術者が転職に役立つ場面は決してないわけではない

人気資格である基本情報技術者試験は、決して易しいものではありません。

しかし、ある程度の時間をかければ合格する可能性は高いです。

またエンジニア向けとしては、入門的な位置づけである資格なので、IT業界での転職ではあまり強くありません。

しかしIT業界以外での転職を考えている場合、システムに関する知識を持っている証明になるため、採用に有利に働くことはあります。

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