
エンジニアにとって資格は転職時の重要な能力の1つです。
転職に必ずしも必要な資格ではありませんが、「基本情報技術者資格所持歓迎」と条件に明記している企業は多いものです。
その1つ上の応用情報技術者資格であれば履歴書の見栄えもよくなりますが、当然基本情報技術者よりも難易度は上がります。
果たして応用情報技術者はどう勉強すべきか、転職に役立つのか、詳しく解説します。
応用情報技術者とは?

応用情報技術者とは、 情報処理の促進に関する法律第29条第1項の規定により、経済産業大臣が認定する国家資格です。
数ある情報処理技術者試験の1つであり、基本情報技術者試験合格者が次に目指すべき資格試験としてみられています。
かつては第一種情報処理技術者、ソフトウェア開発技術者と呼ばれていた資格の後継に当たります。
試験は毎年4月と10月それぞれ第3日曜日の年2回、全国の主要都市に試験場を設置して行われています。
試験の実施団体である情報処理推進機構(IPA)の対象者像は、「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」とあり、ITスキル標準でレベル3、「要求された作業を全て独力で遂行可能であり、スキルの専門分野確立を目指し、プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有する。さらに、自らのスキル研鑽を継続することが求められる」と位置付けられています。
試験方法
試験は午前と午後に行われ、試験時間は共に150分です。
午前は四肢の選択式マークシート80問、午後は記述式11問が出題され、午後は11問中5問を選択して回答する方式です。
合格基準はいずれも100点満点で60点以上が合格となり、両方に合格することで応用情報技術者の資格を得ることができます。
また午前のみでも合格すれば、以降2年間は午前の試験が免除されます。
合格率はおおよそ21%程度。平成30年の実績状況では、春は応募者49,223名に対し合格者6,917名、秋は応募者52,219名に対し合格者は7,948名で、合格率はそれぞれ22.7%と23.4%となっています。
応用情報技術者の難易度・勉強時間

応用情報技術者試験の合格率は、先述した通り受験者に対して約21%程度しか合格していません。
しかも応募者数はさらに多いため、全体で見た合格率はさらに下がります。
このため、応用情報技術者試験の難易度はやや高めと考えておいた方が良いでしょう。
応用情報技術者試験はとにかく出題範囲が広く、大分類だけでも基礎理論、コンピュータシステム、など9つに分けられ、さらにその中で細かく分類されています。
参考書を読み通すだけでも膨大な時間が必要です。
そのため、応用情報技術者取得のための勉強は効率よく行わなければなりません。
あまりに広範囲で膨大な量を一度に詰め込もうとしても、必ず途中で飽きがきて挫折してしまいかねません。
エンジニアとして働いている方は知識の取得にもつながるのであまり苦にならないこともありますが、そうでない方には1から参考書を読む勉強方法はおすすめできません。
また応用情報技術者を目指す方はIT業界のみならず、様々な業界で働いている方が大半を占めています。
平日で勤務時間帯以外に勉強時間を作ることは容易ではありません。
長い目で見た方が勉強もしやすい
本やネット上では数か月で合格をうたっているものもありますが、エンジニアでもてこずる応用情報技術者試験を、僅か数か月で合格レベルまで持っていくことは至難です。
まずは午前を合格することを念頭に勉強を始め、過去問題などで合格が見えてきたら午後の勉強に取り掛かるような具合で、長い目で見た方が勉強もしやすいでしょう。
午後の記述式はさらに実践的なものとなりますが、普段からSQLを組んだり、プログラミングしている方には勉強しやすいかもしれません。
また、基本情報技術者試験の午後ではプログラミングは必修科目でしたが、応用情報技術者試験では選択問題となります。
プログラミング経験があまりない方々にとってはむしろ、この方が点数を稼ぎやすいという方もいるようです。
とは言えども簡単であるわけではないので、十分な備えは必要です。
応用情報技術者は転職で役立つ?

応用情報技術者資格者は、それなりの知識を身につけているとみなされます。
所属している企業でも評価され、昇進も望めるかもしれません。
もちろん転職活動でも有利に働くことが多いのですが、肝心なのは資格取得の前後です。
情報処理推進機構(IPA)が提示している業務と役割では、「情報技術を活用し、企業経営や社会システムの課題に対する解決手段を実現するための戦略立案、またはシステムの設計、開発を行う、または信頼性、生産性の高いシステムを構築し、安定運用のためのサービスを提供する」とあります。
要約すると資格取得の前と後で、そのようなシステム設計や構築におけるマネジメントを行ってきたかが重要と言えます。
企業の求めるビジョンとしては、中間管理職に位置する人物の役割が応用情報技術者としたいところですが、現実はなかなかそううまくいくものではありません。
応用情報技術者資格を所持していない人でもそのような業務を行っているなどはざらです。
逆に言えば、システムに関する業務を知らなくとも資格のための勉強を行い、合格すれば取得できるのです。
資格所持者と言えども、企業が望む業務が理想通りに遂行できるかどうかは別の話です。
つまり、資格は持っていてもそれに裏付けられた業務経験がなければ、ただの見掛け倒しになってしまいます。
業務を続けて研鑽しているうちに実力も向上し、資格取得のための重厚なバックボーンとなる知識も身につけた上での資格取得の道筋こそ、パフォーマンスを最大限に発揮できる方法です。
応用情報技術者資格が役に立つ年代はだいたい30代後半から40代までです。
それ以上の年齢になると取得していて当然と見られるうえ、さらに上位の資格が望まれるようになることもあります。

応用情報技術者の資格に捕らわれてはいけない!
エンジニアの転職における応用情報技術者資格について詳しく述べました。
よく聞く話ですが、資格はあくまでも目安にすぎません。
求人側にとってはその資格を裏付けるそれなりの知識や経験が身にしみついているのか、それをどう業務へ活かして効果を挙げてきたのかが重要なのです。
資格は武器ではありますが、それを裏付けるものがないと資格も生きてこないことを覚えておきましょう。